木村ヒデサト先生の作品の鬼は笑うか。
青白い肌で常に体育を見学している
どこか浮世離れした少年・柏瀬ゆたか。
平凡な中学生星谷光一はクラスでも
浮いた存在である柏瀬の秘密を知っています。
ただのクラスメイトだった二人の間にある感情が
芽生えたことから物語はゆっくりと動き始めます。
ネタバレもありますので先に無料で試し読みをしたい方はこちら。
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鬼は笑うかのあらすじは?
とある中学校のあるクラスがその日はいつになくざわついています。
原因は教室の床に落ちていた一つのナプキンで多感な年ごろの男女は
それに敏感に反応し揶揄ったり怒ったりで教室内は異様な雰囲気となっています。
そんな中、行動を起こしたのは一人の少年でした。
「これ俺のだけど」
少年・柏瀬ゆたかは薄く笑みを浮かべてナプキンをつまみ上げると
それをゴミ箱へと放り彼は去っていきます。
何とも言えない雰囲気が漂いながらも
ひとまず教室内の喧騒は彼の行動により収まります。
平凡な中学生である星谷光一はそれを窓際で他人事のように眺めていました。
青白い肌に高いのか低いのかよくわからない掠れた声
常に体育は見学している柏瀬は周りの人間とは
一切関わろうとしないこともありクラスでも浮いた存在でした。
![鬼は笑うか](https://haishin.ebookjapan.jp/contents/thumb/m/C9100013442461.jpg)
鬼は笑うか
そんな彼に光一は水泳の授業中、僅かな好奇心と気まぐれから声をかけます。
日陰から出た瞬間に消えてしまいそうなほど儚い柏瀬に
消えてしまうならという衝動に駆られたためです。
どうしていつも体育を見学しているのかという光一の問いかけに
柏瀬は彼を呼び寄せうっそりと笑いながら「生理二日目」と囁きます。
揶揄われたとわかっていながらも本当は柏瀬は
女なのではないだろうかという考えが離れず悶々とする光一。
特別肌が弱いため体育に参加できないという女教師の言葉を聴きながら
光一はあのシャツの下はもっとまっしろなのかなと考えます。
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鬼は笑うかのネタバレとその後の展開は?
光一が柏瀬のことを気にかけるのにはある理由がありました。
その理由は彼が目撃してしまった
体育用具室での柏瀬と体育の男性教師との淫らな行為。
柏瀬はそんな光一に自分には生理がある女物の下着をはいている
ナプキンを遣っているなどからかうようなことばかりで
光一はその度に悶々とする羽目になります。
そんな二人の関係が変わったのは光一が
夏風邪で寝込み学校を休んだとある日のことでした。
光一の家へやってきた柏瀬は熱で浮かされる彼に向って
唐突に「生理見せてあげる」と告げ着とズボンを下ろします。
ズボンを脱いだ彼の下着は確かに女物で
さらにナプキンをつけ股からは血を流しています。
熱と部屋自体の暑さで朦朧とする中、まるで白昼夢のような
その異様な光景を光一はただ茫然と見つめていました。
![鬼は笑うか](https://haishin.ebookjapan.jp/contents/thumb/m/C9100013442461.jpg)
鬼は笑うか
翌日光一を待っていたのは憧れていた女性教師の結婚の報告でした。
そしてその相手の男性教師は以前柏瀬と
みだらな行為をしていた体育教師だったのです。
ショックを受けた光一は柏瀬を責めるような言葉を投げますが
柏瀬はそこではじめて俺が悪いのかと感情を剝き出しにします。
そこからまるでドミノ崩しのように
明らかになっていく柏瀬の「生理」の秘密。
複雑な家庭環境で生きてきた柏瀬の悲劇は学校でも止まらず
体育教師からの強引に性的関係を要求されていたのです。
彼が見せた「生理」は無理やり身体を暴かれた
傷から流れたただの「血液」だったのです。
そうして同情のような形で始まる光一と柏瀬の身体の関係。
歪で不安定なまま繋げてしまった身体の関係は
二人が高校になっても続きます。
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鬼は笑うかの感想は?
薄暗くてじっとりとまとわりつくような嫌な雰囲気が続いて
でも不思議と読む手は止められない・・・そんな作品でした。
最初は光一の無神経な言動にイラッとくるかもしれませんが
実際彼らはまだ中学生ということを考えるとこの反応が普通なんですよね。
ごく普通のありふれた中学生である光一の無垢さや平凡さが
暗く悲惨な人生を歩んできた柏瀬の不憫さに拍車をかけています。
中学生時代の話がとにかくハードで結構読むのがつらくなりました。
光一との関係でどうこうならまだしもモブと柏瀬の話ですからね・・・。
性的虐待からさらに頼りたいはずの教師からも
そういう対象に見られかなり悲惨です。
![鬼は笑うか](https://haishin.ebookjapan.jp/contents/thumb/m/C9100013442461.jpg)
鬼は笑うか
二人の関係も同情から始まりさらに星谷には彼女もいた描写もあったので
最終的にどうなるのかかなりはらはらしながら読みました。
未来も見えなくて関係も曖昧でそんな二人が不器用な恋愛の末に
たどり着く先は・・・まさにタイトル通りといったところでした。
読み終わってタイトルを見てこれほどやられた・・・
素晴らしい・・・と思えた作品ははじめてかもしれません。
薄暗くて不安定でだけど最後には
暖かい気持ちになれるそんな素晴らしい作品でした。
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